tazz of 一般社団法人おんなたちの古民家

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File8 tazz.(萩市)

観光地・萩から若手アーティストの作品を発信!
商店街の中にある築100年以上の古民家を自分で改装



インタビュー対象者 プロフィール
田村覚志さん(34)・・・線描画家、tazzオーナー、趣味は釣り。

商店街の中にある古民家に、お店を出そうと思ったきっかけを教えてください。

元々そこまで、古民家にこだわっていなかったのですが、久しぶりにこの商店街に帰って来た時、昔の面影がなくなっていたんです。それを寂しく思い、なんとか活性化させたいと考えていた時、萩の町には古くていいものがたくさん残っていることに気が付きました。例えば、かっこいい和室があったり、小部屋が隠れていたり、天井をはずすと昔ながらの小屋組みが見えてきたり、色々見ていくうちに興味がわいてきたんです。城下町は見てその良さがわかるけれど、実は、おもしろいのは商店街の中なんです! 改装、改装で見えるところは変わってきているけど、中に入っていくと、思いもよらないものに出くわしたりします。例えば古民家の解体現場を見に行くと、昔ながらの土壁や梁が出てきたり、蔵があったり、そこに施されている彫刻、さらに備え付けの家具がすごくかっこよかったり・・・。 私にとって、古いものが出てくるのは、新鮮で、神秘的な感じがしました。昔から使われている材木は深みがあって本当に魅力的ですよ。こういう流れがあり、自然と古民家でお店を開こうと思いましたね。

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築何年ですか? また、広さはどのくらいですか?

築100年以上で、40坪です。

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このほかに、何件くらい探しましたか?

10件くらい見に行きました。

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家賃はいくらですか?

秘密です♪ ふふふ(笑)

改装費はどのくらいかかりましたか?

全部自分たちでやったので、多く見積もっても30万円かかってないですね。ほとんど廃材を使ったので、買ったものは和紙と漆喰と電球くらいです。日本らしくしたくて、漆喰を壁に塗ったり、和紙をはったりして工夫しました。一流の設計士に頼むのもいいけれど、多少できる人なら自分で造った方が絶対に面白いし、愛着がわくと思いますよ。例えば、あの壁の裏が実はどういう風になっているとか、他の人は知らないけど自分だけが知っているという楽しみがあります。

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田村さんにとって、古民家の魅力は?

不便なところが楽しいことです。古いものなので、多少傾いたりするわけなんですよ~。例えば、戸の開け方を一つとってもそうなのですが、傾いているので普通には開かないのですが、自分にしかわからないコツがあって、その方法でやればスムーズに開けられるとか(笑)。

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お客さんの反応はいかがですか?

年配の人は、古いものや古い場所を見ると、やっぱり懐かしんでいらっしゃいますね。昔のことを思い出したりして、話がふくらみます。逆に、若い人は、「これ何に使うんですか~?」という話から、会話がはずみます。畳や木造は、やっぱり日本人はみんな好きだと思うし、落ち着くんですよね。懐かしい気持ちにさせてくれる朽ちた木の雰囲気は、古い家具ならではの魅力です。

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古民家でお店を始めて、考え方などで変わったことはありますか?

新しいものを買うっていうのが昔は当たり前だったのに、今は古いものにどうやって新しいものを合わせるかという楽しさを求めるようになりました。もっといえば、古いものを大切にするのはいいのですが、大切にしつつ新しいものをどう取り入れていくかを楽しんでいます。店では、古い家具を使って新しく生み出された作家の作品を提案しています。例えば、タンスの引き出しを抜いて棚として使ったりしていたら、年配の方は感心してくださいました。古い家具を見ながら「これのけておけばよかった」とか「昔持ってたのに~」とよく言われますよ。

これから、何年この古民家でお店を続けたいですか?

できればずっとやりたいです!

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今後の夢や展望を聞かせてください。

やっぱり萩は観光地なので、若い人が集まれる観光地を作りたいですね! 若い人は、昼遊んでも、夜どこに行けばいいの?という人が多いと思います。夜の9時、10時まで開けられる力のあるオーナーがどんどん増えていけば嬉しいですね、地元の人はもちろん、観光客もそういうお店があれば、必ず足を運んでくれると思います。

今後、古民家でお店を開きたいという人にメッセージをお願いします。

何よりも楽しむことですね、今の時代、自分で経営するということは、かなり厳しいことかもしれません。でも、だからこそ楽しめるようにしてほしいです。

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コメント

萩の商店街の中にある、若手作家の発信地「tazz.」さん。店内にある古い家具をはじめ、床や壁、天井、階段など、全て自分で手を加えて、こんなにも素敵に甦らせている田村さんのセンスには本当に感心させられました。田村さんの言われた「古いものに、どうやって新しいものを合わせていくのか」という姿勢は、まさに私たち古民家鑑定士が目指すべき姿と重なるものがありました。 古民家といえば、寒い、暗い・・といったマイナスのイメージがありますが、先人たちの知恵やすばらしい技術もたくさん残っています。私たち古民家鑑定士は、古いものの良さを残しながら、今のライフスタイルにあった新しい住まいの提案をしていくことがとても大切だと、私自身、田村さんのお話を聞きながら再確認することができました。店内には、私も大好きな大屋窯の濱中史朗さんの作品、ガラス作家・伊藤太一さんの美しいグラス、KOSILVERの佐伯和章さんのシルバー作品、そして、田村さんの繊細で見ている人を引き込んでいく線描作品などなど、選りすぐりの県内アーティストの作品が並んでいます。

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県外から、萩に観光に来られる場合は、ぜひここでしか買えないこだわりのお土産を買って帰っていってもらいたいです。歴史の香りが街じゅうに漂う萩に、こんな素敵なお店があることがとても嬉しくなりました。田村さん、今回は取材に協力していただき本当にありがとうございました。これからも、県内若手アーティストの発信地として頑張ってくださいね。Natsuko(2011・6・14)

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Dreaming Story
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