山口新聞 月曜インタビュー本文 of 一般社団法人おんなたちの古民家

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山口新聞月曜インタビュー(2011年8月22日)

山口の古民家を世界に 
一般社団法人おんなたちの古民家グリーン建築再生機構YAMAGUCHI代表 松浦奈津子さん

今年3月、県内に残る古民家の活用と魅力発信を目指す「社団法人おんなたちの古民家グリーン建築再生機構YAMAGUCHI」が山口市を拠点に発足した。代表を務めるのは元地域情報紙編集長の松浦奈津子さん(30)。古民家を愛好する女性や若者が増えていることに着目し、インターネットサイトで県内の空き古民家などを紹介。活用を希望する人たちとの仲介を行っている。松浦さんの「古民家の魅力を伝えたい」との思いは大きなネットワークへと広がりつつある。(山口支社、古東美緒)

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▼ 現在の機構の状況は。 
運営の中心となる会員は2人。それに加え、県内で古民家を所有している「オーナー会員」が25人。シロアリ駆除、造園、建築、水質分析の専門家など、古民家の維持管理に必要なノウハウを持った「サポート会員」7人も参加している。

▼ 活動の内容は。
 オーナー会員が所有する古民家の情報を写真と文章で機構のホームページに掲載。その情報を見た人たちから古民家を借りたい、購入したいなどの問い合わせを受けてニーズに合った物件を紹介している。古民家の所有者は維持管理に困っていることが多い。単なる「古い家」として持て余している人らと、古民家を「宝」として利用したい人らとのマッチングを行っている。

▼ 古民家活用の希望にはどんなものがあるのか。
 希望者は女性が多い。「古民家に住みながら古本屋を営みたい」など事業計画がある人のほか、安全で自然な家に住みたいという30歳代の主婦からの問い合わせが数件あった。県外の女性からも連絡があり、希望に合う古民家を探している。いずれにしても古民家はそのままでは現代人にとっては寒くて暗い。住むとなれば改修が必要だが、新築住宅に古民家の柱やはりを部分的に使うこともできる。家具などのデザイン次第で、純和風ではなく洋の要素を取り入れた古民家も可能。現代のライフスタイルに合わせた古民家の活用方法も提案したい。

▼ なぜ、古民家なのか 
私自身、中学生まで古い農家建築の家で育った。太いはりや柱など、木が与える温もりと安心感を今でも覚えている。古い民家が好きだったことと、30歳になり何か新しいことを始めたいと思ったのをきっかけに昨年末、古民家鑑定士の資格を取得した。建築構造などから古民家の歴史文化的な価値を判定する資格で、勉強するうちにますます古民家の良さを実感。魅力を伝えたいと知人に呼び掛け機構を立ち上げた。

▼ 今後の展開は
 古民家を海外にPRしたい。古い日本建築の美しさや、木材を長く有効に生かすエコ精神をインターネット情報で海外に発信し、将来は山口の古民家を観光スポットにしたい。6月にアメリカの画家、7月にはヨーロッパのピアニストを市内の古民家に招いた。母国で古民家の魅力を伝えてくれたらと思う。これから海外の人に県内の古民家を訪れ楽しんでもらう機会をつくり、「山口の古民家」を世界に広めたい。

 〈まつうら・なつこ〉 岩国市出身。2003年に県立大国際文化学部を卒業し、サンデー山口に入社。07年から10年まで地域情報紙サンデー山口編集長。結婚退社した10年に古民家鑑定士の資格を取得。11年3月、一般社団法人おんなたちの古民家グリーン建築再生機構YMAGUCHIを設立。山口市楠木町在住。30歳。